陸屋根・ルーフバルコニーの選択

住宅の屋根の形状には色々種類がありますが、大きく分けると勾配屋根か陸屋根になります。
一般的な木造住宅の場合、ほとんどが勾配屋根になっていますが、台風などで屋根の被害が大きくなるとこれからの家づくりでは陸屋根も積極的に検討していった方が良いのかもしれません。

被害を減らして自宅を守るために

今回の台風の被害が大きくなったのは屋根の問題です。

屋根材が風で飛び屋根下地が見えたり、屋根自体が風圧の影響で軒先から捲れ上がったり飛んでしまっている場合もあります。

そして屋根の補修の為に屋根の上に上がってしまい転落事故も起きています。

一般的に瓦屋根の場合は降雨を早く流すために勾配がスレート系、又は金属系屋根材を使っている屋根より急になりますので屋根の上に上がるのは注意が必要です。

※屋根裏を部屋や収納庫にする為に勾配が急な屋根も多いです。

木造住宅ではどうして勾配屋根が多いのか

屋根の目的は雨を漏らさない事。

屋根材やデザインによって勾配は変わりますが、屋根に特化した建材を使用し、流すことによって建物内に水を侵入させないことが安心だと思われているからです。

雨が漏るというのは家としてクレームの大きな要因になってきますので、リスクを少しでも減らすためにおのずと勾配屋根になってしまうのです。

平成20年度までは保険法人によって陸屋根の施工は推奨されておらず、施工面積も制限されていました。

しかし平成21年7月に設計施工基準が全保険法人で統一され、陸屋根についても施工方法が選択でき、施工方法によって一部条件も緩和されています。

木造住宅で陸屋根が少ないのは上記の理由からですが、これまでは陸屋根にするための工法や塗装材などの防水資材に不安があったためだとも思われます。

ビルのように鉄骨造やRC造の建物なら屋上があるのが普通に思われるかもしれませんが、木造住宅では地震によって躯体が揺れますから、防水層が傷付いてしまい、雨漏りが起こってしまうのではないかという不安も大きいのです。

この為、家を建てる施工業者にしても出来たら陸屋根にして欲しくないと考えていたところがほとんどでしょう。

現在は住宅瑕疵担保責任保険への加入時に施工方法が厳しくチェックされますが陸屋根は可能です。

最近の陸屋根・ルーフバルコニー

最近は上記のようなリスクを承知の上で木造住宅でも屋根を陸屋根にして屋上として、プライベート空間として利用したいと思われる方が増えてきています。

これについては施工業者も差別化を図るために積極的なところもあります。

少し前に施工業者からの提案で、建物の中央付近に8畳ほどの部分的なルーフバルコニーを設けた計画に携わりましたが、住宅に囲まれた地域だったのでとても開放的な空間が出来ました。

屋上緑化と言わないまでも植木を並べたり、日光浴のスペースとしたり、ちょっとした飲食スペースにするなど趣味の為に検討してみたいと思われている方も実は多いのではないでしょうか。

近年では工法も様々に進化し、塗装材料や防水建材等も十分信頼できるものになってきていますので、後はきちんと業者に防水施工をしてもらえれば木造住宅であっても陸屋根やルーフバルコニーも選択肢として検討できそうです。

陸屋根・ルーフバルコニーのメリット

地盤面に庭が設けられなくても屋上があれば趣味などに利用する空間が出来る。
見えない屋根と違い、メンテナンスの時期が把握しやすい。
仮に防水層(塗装)が劣化しても比較的簡単に補修・改修ができる。

陸屋根・ルーフバルコニーのデメリット

勾配屋根でもメンテナンスは必要になってきますが、メンテナンスをしないで放置すると雨漏りの原因となりやすい。
屋根裏収納庫などは設けにくい。
積雪が多いところなど地域によっては施工は難しい。
※上記以外にも住まい方によってはメリットにもデメリットにもなります。

地震に弱いと言われていますが…

木造住宅の場合、防水層(施工)は地震によってひび割れなど痛みやすいのではと心配される方もいらっしゃいます。

しかし、これは考え方次第で、勾配屋根なら被害がないのかと言われればそんなことはありませんよね。

屋根の一部が崩れることもありますし、特に瓦屋根なら建物の躯体に掛かる重さの方が問題になることもあります。

屋根材が重いほど、地震で揺さぶられると建物の躯体にも大きな被害を及ぼす可能性もあります。

それに厄介なのが、屋根材がずれたり変形したりすることによって起きる雨漏りの箇所が特定しにくいということもあります。

陸屋根であれば危険度も低く屋根の状態を確認でき、仮に亀裂などが判明すれば一時的であっても補修は容易となります。

それに陸屋根であれば先日の台風のように屋根材が飛ばされることもありません。

防水施工・排水計画がしっかり出来ていれば屋上は何かと便利に使えそうです。
室外機やアンテナの設置なども比較的容易に…。

京都市のように景観条例でどうしても勾配屋根にして欲しいと指導されることもありますが、地区によっては工夫次第で陸屋根・ルーフバルコニーも不可能ではありません。

景観はもちろん大事です。
しかし、住宅ではもう少し自由に検討させてほしいものです。

なぜなら、台風や地震などで屋根に被害があっても行政の補助だけでは元に戻らないことが分かったのですから…。

これからの家づくりは災害時に出来るだけ被害に合わないように、そして容易にメンテナンスが出来るようにも考えておかないといけなくなりそうです。

※地域によっては陸屋根に対する制限もあるようですので、陸屋根にされたい場合は前もって建築士にご相談ください。

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